「薬局やりませんか?」 の落とし穴

宇田川
こんばんわ、宇田川です。
今日は自分が体験した薬局開設の落とし穴について語りたいと思います。

「自分の薬局をもちたい」と考える薬剤師はそこそこいるのではないでしょうか。

そう考える理由はいくつかあると思いますが

 

①自由に働きたい
②稼げそう
③自分の城をもちたい

大体は上記の3つが当てはまるのではないでしょうか。

私自身もつい最近までそう考える一人でした。

タイトルの落とし穴について語る前に
私自身の体験談を最初に話そうと思います。

『通勤時間1時間半、夢のためにその薬局で働くことを決めた』

私は働き始める前から
「自分の薬局をもちたい」と夢をもっていました。
自分自身の性格や医療関係者が周りにいる環境も含め
その考えになったのですが、

結局は先ほど書いた3つの理由が根本にあったと思います。

新卒で大手ドラッグストアに勤めていましたが、
夢に向かってもっと具体的な行動がしたいけれど
どうしていいかわからない
と思っている時に知人を経由してとても興味深い話が飛び込んで来たのです。

・クリニックの開業コンサルをやっている人がいる。

・開業コンサルの経験と人脈をつかって
クリニックをたててその門前として自分の薬局を開いた。

・今後事業の一つとして薬局支援をやっていきたい、その仲間がほしい

・仲間を作りたいから開業コンサルと薬局経営のやり方を教えるので,
代わりに自分の薬局で働いてくれないか。

主にこのような内容でした。
自分にとっては開局の勉強をする
千載一遇のチャンスのような話に思えました。

実際にそのコンサルの人(以下A)に会って詳しく話を聞くことが出来ました。

A自身は薬剤師ではなく、
知人男性(以下B)がその薬局で管理薬剤師として働いていること。

Bも昔から自分の薬局を持ちたいという夢があり、
縁があってAと出会い、Aが資金を出して薬局を作り、
Bが自分の薬局として働いていること。

経営はAがしているから給与はAから出る形になるけれど、
そこはBの薬局でありBが管理薬剤師として働いてくれるからこそ
成り立つのでBには将来的には1000万の給与をだすという話でした。

ちなみにBはAの支援で、薬局の上の部屋を借りて妻と幼い子供と一緒に住んでいました。
Bからも直接話を聞くことができました。

通勤は1時間半かかる距離でしたが、
この話を良いと思った私はAの会社に入り
そこの薬局で働くことになりました。
Aから
「助成金制度を使いたい、それで得たお金の幾分かは給料にもいれるから」
という話があったので半年間の契約ののちに
通常の雇用契約を結ぶことになりました。

実際に勉強会は定期的にしてもらえ、
その勉強会自体はためになるものでした。

しかし、この薬局で働いた結末は
「任期満了」という形で半年で契約終了
というものです。

ただの任期満了であり、Aの都合ではないということ、
不当解雇などではないということに念を押されました。

ちなみに、例えば1月いっぱいまでの契約だとしたら
契約終了の話をされたのは1月30日です。

その後私は派遣会社で働きながら転職活動をして
いくつか正社員の内定をもらったのですが、
派遣を通して様々なことを経験し考える中で全ての内定を断り
しばらくは派遣を続けることを選びました。
現在も派遣として働いています。

ここまでが私自身の話です。

『なぜ私は契約を打ち切られたのか』

本題の落とし穴について語る前にもう一つだけ。

ではなぜ私は契約終了になったのでしょうか。

あくまで任期満了ということなので
ここから先は私の推測ということになります。
経営者にとっては現場寄りの意見や不透明な部分を
つっつくことを言う人の存在は都合が悪いはずです。

私の前にも同じ様に意見をはっきり言う元女性社員も
「任期満了」で契約終了になっていました。
私もその元女性社員も
契約終了の理由はぼやかされてしまいましたが
経営者にとって都合が悪くなったので契約終了になった可能性もあります。

もし本当にこの推測が事実だとしたら
理不尽のように感じるかもしれませんが、
この場合Aは自分が扱いにくい人間を個人の判断で捨てたというだけで、
これは当たり前のことでもあります。

『人のお金で薬局を持つとはどういうことか』

この薬局での事例を踏まえて、
ここからタイトルの落とし穴について話します。

薬剤師で金融や経営に関する知識を持つ人は少ないでしょう。
そのため薬局をやりたいと思っていても始め方がわからないことが多いです。

そんな時に

「薬局やりませんか?資金はこちらで用意しますよ、
あなたには良いお給料をだします。あなたの薬局として働いてください」

という話がきたらどうでしょうか。
一人でいても何もわからないし良い機会かも…と、
とりあえず話だけは聞くのではないでしょうか。

私が勤めていた薬局はこのパターンです。

ではこの方法で「薬局をもつ」という夢を叶えたBは
どういう状況になっていたでしょうか。

Bに直接聞いた話では、
結局ここはBの薬局とAからは言われているけれど、
決定権は全てAにありBの意見は通らないのだとか。

Bができることはあくまで薬局内で決められることを決めるだけです。
給料の金額も、休みも、制度も、
Bは結局ただ働くだけで何も決めることができないのです。

Bと一緒に薬局をより働きやすい環境にしようと
何度か話し合いをしたことがあります。

①薬剤師を4人にしよう。

②休日手当はつけよう

③早番遅番制にして早く帰れる日を作ろう、
またはリフレッシュ制度をつくろう

④従業員の薬代をいくらか会社負担にしよう

⑤仕事に必要と判断した資料や本は経費で買おう

⑥パートさんのシフトのやりとりを現場任せにしてほしい。

主にはこのような話がでました。
上記の内容は取り入れている薬局も多くあり、
決して特別な内容ではないと思います。

この訴えに対するAの返答は以下のようなものです。

「方針を決めるのは僕だ。従業員が決めることではない」

今回この返答が社会的に正しいのか可笑しいのかは重要視するところではありません。
視るべきところは、たったこれだけのことも何一つ、
薬局をもったはずのBは決められないという点です。

そう、誰かの資金の元で薬局を持つということは、
スーパー雇われ人になるだけで、
何一つ自由に働けなくなるのです。

人を他にも雇ってもらえたら幸いですが、
他に人も来なければ休みも自由に取れず、
薬局のため、経営者に利益をもたらすためにひたすらに働くのです。

実際Bは週6で働いていました。
日曜当番があったときは週7勤務でした。

Bは良く言えば温厚、
悪く言えば物事をなあなあにする人だったので
Aにとってはとても都合の良い、
それこそスーパー雇われ人のようにしか私は見えませでした。

私が退職することで薬剤師はB一人になるのですが、
Aは契約終了することを選んだのです。

Bも本来自分が望んでいないその理不尽な雇用ややり方、
休みのなさ、さらに薬剤師がいなくなる状況に鬱々としていたと思います。

しかし私が立ち会ったBのケースは
薬局の上に奥さんと子供まで引っ越してきていて、
その家賃もAが援助していたので
もうBはその薬局で働くしかない八方ふさがりの状態でした。

辞めた後に聞いた話ですが、
「自分もこの薬局を辞めたい」とBは言っていたそうです。

『スーパー雇われ人にならないで』

薬局は儲かる、これはきっとこの先もそうでしょう。

そのため「薬局をやりませんか?」という話は珍しいことではないのです。

その上大体は「資金もだします」「給与も高くだす」など金銭面も良い話が多いでしょう。
経営者にとっては死ぬほど働いてくれる薬剤師が必要なのです。
利益はそれ以上にでるからです。

しかし、今後の薬局は稼ぐためには
在宅を沢山請け負ったり開局時間を伸ばしたり、
24時間対応をとったりと現場はとても忙しく働かなけれ稼げないでしょう。

人がいればなんとかなりますが人件費は高く、
経営者が十分な薬剤師を雇ってくれない場合も多いでしょう。

結果、誰かの元で薬局を持った場合は、
まるで自分の薬局のように働けるが実際は何も決められない、
自分がひたすら働くしかない、
お金は手に入るが自由はない、

あなたはスーパー雇われ人になるだけなのです。
経営者の操り人形のような働き方になるのです。

それがあなたのやりたい薬局なのでしょうか。

もし本当に自分で薬局をやりたいと思うならば、
資金繰りから全て、自分の力でやることです。

あなたの無知と夢を利用する、
「薬局やりませんか?」という誘いには注意するべきです。

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